混雑錯綜なる文字の海を脱し、事問ふべきは人の世の歴史、つくりしもの(詠歌、形象、謳い) ...

捨て難き博物学Liberal Arts

時間ときは人を欺く

空間ひろがりは年月を、歴史を、人の働きを刻む

言辞おとに耳を傾け文字ふごうに頼らず

視覚ビジュアライズにて認識しるは能わず 百の思考を欲す

半世紀の長きにわたり諸事しることの他さしたる興味もなく、よわい 八十に何何とする古老の観ずる世界とは...

歳重ねた老手の著述のこととて、もはや晦渋かいじゅう に惹かれることもなく、ひたすら平明わかりやすさに徹する ...

しかしながら、平明わかりやすさと言えども、己を懼れるあまり図らずも浮上する滓の如きもの、一 裡なる 夾雑物の表出に他ならぬ!

あたかも古代の発掘品の模倣レプリカの如くにかわが施され、 一時いっときは持て囃されるも、時至れば膠芽腫ガンとなって朽ち逝く。

ニューリベラルアーツ代表 松山寛文

日々のおもひ


環境を毀損する海外資本

 2016年、伊豆半島東海岸一帯に広がる伊豆東部火山群の一画、伊雄山にメガソーラを建 設する計画が発覚した。後日、収賄容疑で起訴、収監された当時の市長と海外業者の間で 交わされた(仮)承諾書を市会議員の一人が見付け、市長に真偽を確認した。 議会も市民も一切知らない間に、宏大な自然林のど真ん中に海外資本の太陽光発電所を造る密約のあった事が 暴露された。

 建設予定地は、梅雨時に河川氾濫や土砂流出が頻繁に起る一帯である。山林が開墾され、大規模な樹木伐採が実施されると、 保水力を失った土壌が崩落し、住宅地を襲う。住民の生命財産が危険にさらされるだけではない。 地域の主要産業である漁業は壊滅的な打撃を受ける。伊豆の東海岸を結ぶ国道の封鎖、物流の停滞、ダイビングスポットの喪失など、地域全体の被害は大規模地震に匹敵する。

 地中深く密集し、広く根を張る網目状宿根、接合強化を担う粘土層、岩石群、鉱物層、ー これら地質構造 の基礎を生成する自然林が消滅すれば、数百年を経て形成された堅固な土壌構造が脆くも崩れ去る。

 地域の地形や地質に適合した土砂崩れ防止、土砂流出時の緊急処置、住民退避、保険などの賠償制度、ー  これらもっとも重要な課題について事業主だけでなく、行政当局も十分に考慮していないことが住民説明会 で判明した。業者は上流からの土砂流出を砂防ダムで食い止めると説明する。砂防ダムは簡便な貯水槽にす ぎない。小規模な水害に対応する静力学的手法であり、大規模な表層・深層崩壊を防ぐには、動力学的手法、 複数の動的解析を組み合わせたマルチフィジックス法を用いた総合的な水理設計が必要となる。海外資本が指名する設計業者にそんな発想はない。

 本来、糾弾すべきは旧民主党政権時に成立した再生可能エネルギー関連法案である。 ー  休耕地の所有者にソーラパネルを設置させ、発電によって得た利益を運営管理者が独占する固定価格買取 制度。一方、再エネ賦課金制度によって、パネル設置と装置の運営管理に関わる総事業費の償却分は家庭と企業に負担 させる。再生可能エネルギーの美名の元で、河川・森林・海岸を私有地特例に法令化した行政の不作為 、 ー 中規模程度の暴風で容易に破損する建造物許可、 ー 根底にあるのは国土と環境に対する 政治家と霞ヶ関官僚の見識の欠如、不定電源に対する無知、再エネ賦課金による産業界と国民への負担増 より自らの利権を優先する統治機構、これら法制度の欠陥は政権交代後も放置されたままである。

 地域住民の生命財産、人格権、環境権に背を向け、法整備りつりょうを弄び、功利に走る議員と 俗吏には魯鈍ろどんを超えて悪意を憶える!

  • 表層崩壊、生態系破壊、地下水汚染
  • 高温輻射による土壌環境劣化、微小生命体への影響
  • PVC(photovoltaics)素原料、素子、システムの正しい認識
  • 設備廃棄、風水害による有害物質の飛散、河川や海洋への流入
  • 自然環境と整合すべき法整備が急務